ジャム工房ヴィラ中村〜夫の恩返し〜
いざ、ジャム作りヴィラへ
10月の終わりにはジャムを完成させたい。それも、オリジナルのジャムを。
こんな私たちの無理難題を「いいわよ」と快く引き受けてくださったのは美ヶ原高原ジャム工房のヴィラ中村さんでした。「住所がGPSに出ないわよー」とは伝えられていたものの、マルメロ農家からヴィラへ向かう途中、またもやここでも迷子に。地元の人に何度も聞きながら、やっとの思いで着いたジャム工房でしたが、まあ、その風景のチャーミングなこと。こんな大自然に囲まれて私たちのジャムが作られると思うとそれだけで疲れが吹き飛びました。
美ヶ原高原ジャム工房 ヴィラ中村、妻への恩返し物語。
ジャム作りを始めて約16年。成り立ちの貴重なお話が聞けました。
「定年後何がしたい?」「土をいじって生きていきたい」中村夫妻は定年を前にこんな会話をしていたそうです。そして、いよいよその日が近づくと、中村さんは妻、愛子さんに「ジャム工房を作るぞ」と一言いい、ジャム販売の相手もいないまま、ジャム工房を作ってしまったのです。これは長年苦労させた中村さんの妻への恩返しでした。
愛子さんは結婚前は、アメリカにホームステイをするなど、とても活動的だったそうですが、お嫁に入った先が厳しい軍人のおウチで、姑との仲も厳しく、自分のやりたい事を我慢してご両親をずっと面倒みてきたそうです。「その家に入った嫁の仕事だから仕方ないわね」ときっぱり語るその姿はとても格好よかったです。そんな愛子さんを長年見てきた寡黙な中村さんには、「いつか愛する人に好きな事をやらせてあげたい」という気持ちがずっとあったのだと思います。
愛子さんのジャム作りのきっかけは、親戚からもらった杏ジャムが美味しかったことでした。それ以来、ジャム作りにハマり、楽しそうにジャム作りをする日々。その輝く姿をみながら、中村さんはこれだと確信したに違いありません。
そんな妻への愛情いっぱいのジャム工房には、中村さんの手作りの器具がたくさんありました。中村さんがケガをする前までは、二人三脚でジャム作りをしていたそうです。中村さんが農家に果物を取りに行き、愛子さんがジャム作り、中村さんが一つ一つ瓶のシールを留め、そして夫婦で郵便局に出荷しに行く、と言うなんともほほえましい夫婦の共同作業が続きました。
しかし、3年前、中村さんは天井の電球を替える際に4メートルの高さから転落。頭を打った後遺症で、今は言葉がうまく出なくなり、体も前のように動かなくなってしまったそうです。「技術畑の人で、もともと無口だし、本人も気にしてなかったみたいだけどね。やっぱり、私はジャム屋を閉じようと思ったのよ」と愛子さんは当時のことを思い出すかのように、ポツリポツリと話してくれました。「でも皆さんから続けて欲しい、家族からも続けた方がいいよ、と背中を押されて今があるの。本当にありがたいです。」いろんな苦労を乗り越えてこられたからこそある、柔らかな笑顔。中村さんのジャムはそんな笑顔から生まれています。ひとつひとつが手作り。無添加で果物の持つ味をそのまま生かしたシンプルでとっても美味しいジャム。私たちが試食したいろいろなマルメロジャムの中で、一番おいしかったのがこれでした。
「今から、収穫するマルメロで作るんだから、オリジナルレシピの方がいいわね」と応援していただき、待望のオリジナルレシピ、マルメロジャムが出来上がったのです。
肌を食から考える、新しいレナジャポンの幕開け
「マルメロは胃にいい。」かのシェイクスピアが物語の中で書いています。
そんな昔から、マルメロには胃袋をハッピーにする作用があると人々は思っていたんですね。確かに今でも、マルメロのシロップはのどにいいなどの効用がうたわれています。また、マルメロの香りは香水として使われるほどアロマティックで、香りでも人々を魅了しています。良い香りに包まれて心が癒され、おいしいジャムでお腹が満たされると不思議と肌も元気になります。「肌を食から考える」、新しいレナジャポンの発想がここにあります。マルメロのジャムとレナジャポンのスキンケアの二人三脚。そんな夢のような、美味しくきれいになるコラボが今年はできました。