Artist Interview Vol.5 Ryota Kanno

Artist Interview Vol.5  Ryota Kanno


「あなたのさくら色コンテスト2021」イラスト部門2位を受賞された、
横浜市生まれの彫刻家 官野良太さんにインタビューさせていただきました!
2013年より横浜市にある私立中学・高校で美術の教鞭を執りながら、彫刻家として制作活動をされている官野さん。2018年まで脱活乾漆技法を用いた具象的な人体彫刻を制作し、現在は、美しいものの模倣ではなく、人の内面や記憶にまつわる作品の制作しているそう。

全ての作品が個性的かつ、魅力的で、一つは家に飾っておきたい。そんな想いにさせる素晴らしい作品たち、そしてこれからの官野さんの活躍に大注目です!

今回受賞された作品はデザイナー小篠ゆまさん監修のもと大判スカーフとなりました。また官野さんの作品もこちらからご紹介中!是非ご覧ください。

Meet Artistsのページから購入可能な官野さんの作品がご覧いただけます。


1)今に至るまでの簡単なストーリーを聞かせてください。

以前は脱活乾漆という、仏像などを作る伝統的な技法を用いて人体彫刻を制作していました。しかしコロナ禍など、様々な環境の変化をきっかけにして、現在は樹脂や油絵具を用いて人の内面や記憶にまつわる作品を制作するようになりました。

 

2)今に至るまでのチャレンジストーリーがあれば聞かせてください。

制作を続けていながら、展示発表することから離れてしまった時期がありました。

「まだ自分の作風も定まっていないから」と考えたり、逆に無理に自分の作風を定めようとすることで、制作することに息苦しさを感じたこともありました。

そうして発表することに行き詰まったとき、続けてきた制作方法を改めて“自分や誰かが欲しいと思えるもの“を作ろうと考えを転換しました。

現在地を作品に反映させ、作風の変化を怖がらなくなったのは自分なりのチャレンジでした。

 

3)アーティスト(彫刻家)になるきっかけは?

美術の道に進むことは、僕にとってそれほど特殊な道であるとは考えていませんでした。

「アーティストになった!」という瞬間はありませんが、アーティストは職業ではなく生き方の問題だと考えているので、いわゆる「普通の生活」をしながら制作を続けていきたいです。


4)何かアートを描く上で自分なりのルールはありますか?

机の上をきれいに整頓すること。漆を材料にしていたときは、汚れが手に触れるとかぶれてしまうので、整頓する必要がありました。現在はかぶれるような素材は扱っていないのですが、制作をする上で気持ちが整うので、今も整頓を心がけています。

 

5)アートを通して何を表現することが多いですか?

現在の制作素材は透明な樹脂を扱ったり、油絵を描いたり。一貫性がなく見えるかもしれませんが、いつもメインにしているテーマは「記憶」です。 自分や、誰かの記憶に触れるような感覚を大切にして制作しています。

 

6)アートを描く上でどこからインスピレーションをされてますか?

水面や窓の光など、日常の生活の中でいつもメモを取りながらきっかけを探しています。ただ、頭が緊張した状態だと中々最終的なアイデアが浮かびづらく、常にたくさんの「保留のアイデア」を持っています。それらのアイデアは少し時間を置いて、お風呂の中や眠る前にふと考えがまとまることが多いです。

 

7)今回、「あなたのさくら色2021」受賞を受けてどんな思いですか?

今回このような賞をいただきまして、率直に嬉しく思います。

普段は一点ものの作品を制作しているので、“アートを身に纏う“というコンセプトのもと自分の作品がスカーフになることが本当に楽しみです。

 

8)今アーティストとして活躍したいと思って頑張っている方々にアドバイスはありますか?

月並みですが、続けることが大切だと思います。
実は美大を出て数年で、多くの人は制作をやめてしまいます。初めは作りたいという欲だけで動くことができますが、制作する環境を自分で用意したり、自分以外の作家が輝いて見えたり、日々の生活に忙殺されたり。その中、自分の形を柔軟に変えながら続けることで、いつの間にか自分の作品を評価してくれる人に囲まれていることに気付けると思います。


Fast Five questions

1)一番役に立ったアドバイスは?

最近ですが、一緒に制作をしていた同僚に「誰にどう評価されたいか考えた方が良い」という会話の中で受けたアドバイスです。

自分だけが満足する作品を作るのではなく、鑑賞者を具体的に想像することで制作に必然性を生むべきだという意図だと解釈しました。

 

2)一番ダメだったアドバイスは?

特に思いつきませんでした。

アドバイスを受けた時に分からなかった事も後になって理解できるようになったり、立場が変わって分かるようになったりした事がたくさんありました

 

3)好きな色は?

紺色とか、グレーとか。使い込んだ革や真鍮の色も好きです。

 

4)もし世界中人が見るビルボードに自分を表現できるとしたら、何を表現しますか?

街に溶け込むくらい大きな作品を作ってみたいです。

 

5)What's next? (今後の活動など)
ガラスなど、色んな素材に挑戦してみたいです。

 

Profile
官野良太 Ryota Kanno
https://www.instagram.com/kanno_ryota/

1988年 神奈川県生まれ

東京藝術大学大学院 美術研究科修士課程芸術学専攻美術教育研究室 修了

◆受賞歴
2012年 東京藝術大学 安宅賞
2013年 第87回国展 新人賞
2014年 第88回国展 国画賞
2021年 いい芽ふくら芽inTokyo オーディエンス賞

◆展示歴
2012年 ストリート!2012展上野駅ステーションギャラリー
2013年 第87回国展 彫刻部 国立新美術館
2014年 第88回国展 彫刻部 国立新美術館
2015年 第37回国展 彫刻部秋季展 東京都美術館
2016年 第38回国展 彫刻部秋季展 東京都美術館
2017年 第91回国展 彫刻部 国立新美術館
2021年 いい芽ふくら芽inTokyo 松坂屋上野店
2021年 旅展-ここではないどこかへ- 藝大アートプラザ
2021年 Vague-存在の曖昧さ- GALLERY ART POINT
2021年 図鑑展ワンダーランド!藝大アートプラザ


コメントをする

注意:コメントは社内で確認承認後、公開されます。

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。